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《解説》
柳下さんとは旦那さん(季器さん)の奥さんとしてのおつきあいが長かった。工房にお邪魔するときに少しお話したり、一度は家族で伊賀を訪れて皆で食事を楽しんだりした。旦那さん同様、御自身も作陶に携わるとは伺っていたが、その間育ちざかりの息子さんとかわいらしいお嬢ちゃんの子育てで手一杯で、作家活動はしばらく休止しているとのことだった。最近になってそれもひと段落したようで、ぽつりぽつりと作品をつくるようになって、旦那さんとの二人展やグループ展でお披露目するようになった。
その作品を拝見して、とくに交趾が面白く、その今風の解釈に魅かれるものがあった。交趾といえば、真っ先にイメージされるのが茶道具で、とくに香合は茶席のワンボイントを華やかに飾る道具として印象的である。侘びを求める他の茶道具がどちらかというとおとなしめの色合いなのに対して、交趾は、その鮮やかな色で茶席の華というにふさわしい。交趾焼は中国南部のやきもので、それが交趾船によって運ばれたためにその名があるというが、現在われわれが目にする多くは国内産の写しで、とくに京焼のそれが有名。仁清や木米を生んだ京焼の系統にあるから、それは、かなり派手目のやきものになっている。
それはそれで魅力的だが、柳下さんのそれは、色合いを抑えめにして、しかも釉薬も濃淡を意識してとてもシックな交趾を実現している。京焼とは違う様相で、しかも日常使いの器にそれを応用しているので、交趾といってもそれとは異質なやきものだといっていい。これを翻せば、この方の作品は、交趾という特殊なやきものを茶室から解放し、それが様々なライフスタイルにおいても活用できることを示している。「今風の解釈」と形容したのはそういう意味からである。(柳下知子「交趾ぐい吞み2」解説に続く)
《参考》ぐい呑み考「王の器~高麗茶碗のフォルマリズム」
https://ameblo.jp/guinomikou/entry-12864313491.html
《作品情報》径7.4㎝×高さ5.0㎝、共箱付、新品
《販売期限》2024年12月25日
《お届け》共箱の御用意にお時間を要しますので、発送まで一定の期間を頂戴いたします。御注文時に作家に確認のうえお届け予定日をお知らせいたします。
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