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「高麗のほうへ」展;鼠志野井戸酒盃 山田洋樹

¥22,000 税込

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《解説》
 「これまで青やグレーばかりだったので、黒っぽい鼠志野にしてみたいと思って。」と山田さんはいう。確かにこの方の鼠志野は、鬼板と長石釉が美しく発色した明るめの作品が多い。だが、実は「桃山の黒っぽい鼠志野が好き」なのだという。高麗茶碗のイメージが作家を明るい色から黒に引き寄せた。今回出品頂いている白い志野と比べると、同じ井戸形でありながら、ずいぶん印象が異なる。白のほうは、解説でも書いたように、井戸の形をまといながら志野の表現域にあるのに対して、こちらは、色が反転したことで、グッと高麗のほうへ近づいている。とくにこの作品は、今回出品頂いた井戸形のなかで最も大井戸らしいたっぷりとした碗形をしていて、それがさらに高麗っぽさを強調している。正面の白い窓があたかも白刷毛のようで、刷毛目のイメージとも重なる。

 志野は白い器を求めてつくられたという。白磁の技術がない時代、やきものは基本土色だった。単純に考えると、土の色を白くするのは至難の技だが、美濃の陶工たちは長石を使って白い釉薬を発明し、器を白くすることに成功した。そこに鬼板で絵や模様を描いて志野という様式を確立する。いっぽう、粉青もまた鉄分の多い土に白泥を塗って白い器を実現した。そこに象嵌や刷毛を施して三島や刷毛目が生まれる。白い志野がポジだとすれば、器胎に鬼板を塗ってそれを削って絵や模様を描く鼠志野はネガの関係にあるが、鉄分の多い地肌に白い化粧を施すという意味では、鼠志野が粉青の雰囲気に近くなるのは当たり前というべきだろう。

 とはいえ、本作の「ようす」は志野の表現を極めている。作家は志野を絵や模様で魅せるスタイルをとらない。土や釉薬から醸される色合いをむしろ大切にして、変化に富んだ色彩の志野を追求する。この作品では、鬼板の塗り具合や長石の掛け方を敢えて一様でなくすことによって、様々な色彩、あるいはグラデーションで井戸の衣装をこしらえた。そこに志野特有のピンホールや粗い土に由来する石ハゼが景色として加わって、高麗志野ともいうべき特別な世界を確立している。

《参考》ぐい呑み考「王の器~高麗茶碗のフォルマリズム」
    https://ameblo.jp/guinomikou/entry-12864313491.html

《作品情報》径7.4㎝×高さ4.6㎝、共箱付、新品
《販売期限》2024年12月25日
《お届け》共箱の御用意にお時間を要しますので、発送まで一定の期間を頂戴いたします。御注文時に作家に確認のうえお届け予定日をお知らせいたします。

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