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「高麗のほうへ」展;朽葉志野井戸酒盃 山田洋樹

¥24,200 税込

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《解説》
 今回山田さんが寄せてくださった作品のなかで、最も異色の作品である。作家から届いた小包を開けて、作品をひとつひとつ確認していると、この不思議な盃があった。何だこれは?形は井戸で、このムラムラとした肌は斗々屋みたいだな。口縁が皮鯨になっているな。いよいよ山田さんも志野以外の表現域を試しはじめたかとさえ思った。しかも、この作品とても良い雰囲気を出している。今回の山田さんの出品作のなかでいちばん高麗に近い。近くにいた嫁さんに、これいい感じやな、と見せると、今回のテーマを知らない嫁さんは「ホンマやね。高麗やね。」という。うんうん、まさにそう見えておかしくない。

 御本人に確認してみると、あにはからんや、志野なのだそう。志野の土に不純物を多く含んだ長石釉を薄くかけると、こんなふうに焼き上がるのだそう。もちろん、こんな風情を狙ってのことである。作家にとって、やはり、志野は、最も核心的な表現手段であり、その可能性を様々に広げてこその創作活動だという思いがある。それを「志野以外の表現」とはたいそう無礼な想像をしてしまった。確かに、口縁に皮鯨のようにさしてある鬼板を見た段階で、それに気づくべきだった。井戸や斗々屋ならそんなことをする必要はない。鉄絵は志野を構成する主要な表現手段なのだから、そこに鬼板らしき装飾があることは、作家がここにおいても志野の表現を忠実に追求していることの証たるに十分だった。

 作家が「変わった焼きなりになったのでどんな名前にするか迷ってます。何かいいアイデアないですかね?」とおっしゃるので、その紅葉のようなグラデーションをなす様子から「朽葉」を使ってみるのはどうかと提案した。単なる思いつきで浮かんだ名前だが、調べてみると、平安時代からある色の名前で、紅葉の色を指し、当時は赤朽葉、黄朽葉、青朽葉などの細分名もあったそうだ。この作品の肌は黄色っぽい釉調に赤や青がさしているのでピタリかと。作家に伝えたら気に入って頂いた様子。そのときのメールの返信に、この作家のひととなりがよく表れているので、そのまま転載する。「僕は紅葉する木々が大好きで、特にもみじが1番好きで、今の敷地に、7本のもみじを自分で植えて、育てています。大きいものは3メートル以上に育っています。紅葉の時期はもちろん、新芽が出る春先も可愛いですし、葉が落ちる真冬でも、雪が降ると雪の華が咲きますよ。」本作のような優しい作品が生まれる理由がわかろうというものだ。

《参考》ぐい呑み考「王の器~高麗茶碗のフォルマリズム」
    https://ameblo.jp/guinomikou/entry-12864313491.html

《作品情報》径8.0㎝×高さ4.2㎝、共箱付、新品
《販売期限》2024年12月25日
《お届け》共箱の御用意にお時間を要しますので、発送まで一定の期間を頂戴いたします。御注文時に作家に確認のうえお届け予定日をお知らせいたします。

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