「高麗のほうへ」展;黄瀬戸柿の蔕盃2 鈴木都
¥18,700 税込
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《解説》※鈴木都「黄瀬戸柿の蔕1」解説からの続き
柿の蔕茶碗は、斗々屋や蕎麦とともにひとくくりに扱われることが多い。製法が粉青に由来するとみられていることに加えて、焼成時期もほぼ重なるとされているからである。その意味では、高麗茶碗の隆盛期の前期を占めるといってもいいが、それだけ原高麗に近いということでもある。さらに、柿の蔕は、蕎麦と同様、伝世する古作が三十碗ほどと極端に少ない。小田榮一氏は、同種の茶碗なのに斗々屋だけが多く、そこには後世の作が混ざっているのではないか、と指摘している。これを裏返せば、柿の蔕や蕎麦の独特の「形式」は、複製品をつくるにはかなりの難度があるということではないか。斗々屋は素直な碗形だし、割高台や御所丸など特徴のはっきりしている形式は、それを際立たせれば似せられるので、比較的容易に真似られる。だが、柿の蔕や蕎麦のあの微妙な碗形をそれらしくするには「形式」を熟知した確かな腕前を要請する。それもまたこれら特異な形の茶碗を原高麗と比定する理由のひとつである。
その点、都さんは、ずっと気になっていただけあって、柿の蔕をしっかりとらえている。いっけんミスマッチとも思える黄瀬戸の様式をそこに合わせても、柿の蔕を感じさせる「形式」を維持させているのがその証左である。胴紐の黄瀬戸で釉調にムラを起こすなど考えられないが、この作品では黄瀬戸の釉薬を使って、あたかも柿の蔕のような釉景色を実現している。そして、油揚手の黄瀬戸にみられるコゲをうまく使って、本歌の寂びた感じを出しているのもいい。作家自身が説明しているように、石ハゼを景色とする粗い土も本歌のあのゴツゴツした感じを彷彿とさせる。少しわかりにくいが、高台の畳つきを志野のそれのように二重にしているのは作家の遊び心によるものか。
都さんは、こちらがお願いする企画に複数出品してくださるときは、いつも違った種類を御用意くださる。それが今回柿の蔕というひとつの種類の違うバージョンを提供して頂いたのは、その「形式」がよほど作家の感性に触れたからだろうし、加えるに、この両作品のいずれも捨てがたい焼き上がりだったからだろう。確かに、「1」のほうは黄瀬戸と柿の蔕それぞれの形式のぶつかり合いが、「2」のほうはその暗い土肌の本歌への迫り様が、それぞれ味があって、どちらが優れているともいい難い。このふたつの作品を、仁王像の阿形と吽形のごとく対で鑑賞できる楽しみは、ショップ運営者のみに許された特権だが、それを多くの方々と共有できないのは少し残念でもある。
《参考》ぐい呑み考「王の器~高麗茶碗のフォルマリズム」
https://ameblo.jp/guinomikou/entry-12864313491.html
《作品情報》径9.5㎝×高さ4.2㎝、共箱付、新品
《販売期限》2024年12月25日
《お届け》共箱の御用意にお時間を要しますので、発送まで一定の期間を頂戴いたします。御注文時に作家に確認のうえお届け予定日をお知らせいたします。
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