「高麗のほうへ」展;小井戸盃 古松淳志
¥15,400 税込
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《解説》
本文で、日本の茶人たちは高麗茶碗の冷え枯れた風情に惹かれて、それを茶席に導入したと述べた。古松さんのこの作品を観ていると、その当時の高麗茶碗の侘び様はいかにもこんなだったろうと思う。高麗青磁系を含めて広く高麗物に取り組むこの作家は、幾世代も経て伝世される本物たちのこうした風情をとらえるのが実にうまい。風情もまた「ようす」としての「形式」のひとつだとすれば、高麗茶碗には欠かせないたいせつな要素だといえる。
小井戸は、文字通り、所謂井戸に相当する大井戸よりもサイズが小さめだからその名がある。とはいえ、実際には「老僧」や「上林」のように大井戸と大きさがさして変わらないものもあるので、一概にそういえないところが高麗茶碗の「名分」の難しいところである。おそらく、まだ分節化される前は一様に井戸と呼ばれていたはずで、降矢哲男氏によれば、その中の小さめのものを小井戸と呼びはじめて、その後それがさらに青井戸や小貫入に分かれていったのではとされる。残されている井戸から判断するに、大井戸は、井戸のきまり、たとえば、梅華皮、ろくろ目、枇杷色、たっぷりとした碗形等を満たす正統派で、小井戸はそれから少し外れる規格外の特徴をもったものという見方も可能かと思う。
その意味で、古松さんのこの小井戸は、大井戸の規定にない諸々の表現を備えている。小さめで三日月形をした高台、何んともいえず中途半端な梅華皮、立ち上がり切らない胴の湾曲、口縁のべべら、いずれも大井戸からすれば規格外だが、逆にそれが高麗茶碗の大事な魅力でもあるからこれもまた不思議なところである。しかも、作家の神経はこれら細部の表現にまで行き届いていて、この作品をいっそう小井戸の「形式」に迫るものにしている。
《参考》ぐい呑み考「王の器~高麗茶碗のフォルマリズム」
https://ameblo.jp/guinomikou/entry-12864313491.html
《作品情報》径7.7㎝×高さ4.4㎝、共箱付、新品
《販売期限》2024年12月25日
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